
秋の 換毛期、 はじまってます抜け毛の 仕組みと、 犬種別ブラッシング
我が家の8歳のボストンテリア・源(げん)に、私はこれまでほとんどブラッシングをしてきませんでした。「短毛だし、換毛期のある犬種でもないし、いらないよね」と思っていたからです。
でも、黒い服とソファが教えてくれました。源、結構抜けてる。
調べてみると、「換毛期がない犬種」と「抜けない犬種」は、イコールではありませんでした。この記事では、そもそも換毛期とは何なのか、うちの子には換毛期があるのか、そして犬種のタイプ別に、秋からのブラッシングをどうすればいいのかをまとめます。
🧥 換毛期の 仕組み
犬の毛は、1つの毛穴から2種類が生えています。太くしっかりしたオーバーコート(上毛)と、その根元に密集するふわふわのアンダーコート(下毛)です。オーバーコートは皮膚を水や紫外線から守るレインコート、アンダーコートは体温を保つダウンジャケットの役割をしています。
このアンダーコートを、季節に合わせてまるごと着替えるのが換毛期です。春には冬毛が抜けて通気のいい夏毛に、秋には夏毛が抜けて保温性の高い冬毛に生え変わります。時期はおおよそ春〜7月頃と、秋〜11月頃の年2回です。

面白いのは、着替えの合図です。「寒くなったから冬毛になる」と思いがちですが、体が見ているのは気温だけではありません。もうひとつの合図が、日の長さ(日照時間)です。日が短くなっていくのを体が感じ取ると、ホルモンの働きが変わって、冬毛づくりが始まります。気温は年によって前後しますが、日の長さは毎年おなじペースで進むので、体にとっては気温よりも確かな「季節の進み」の目印になっています。
室内暮らしの子は、換毛期が「ダラダラ」になる
ここで、現代の犬あるあるをひとつ。室内暮らしの子は、照明で夜も明るく、エアコンで年中快適です。つまり体が「日が短くなった」「寒くなってきた」を感じにくくなります。そのため換毛期がはっきりせず、一年中すこしずつ抜けるパターンになりやすいことが知られています。
「うちの子、換毛期っていつなのか分からない」という場合、それは異常ではなく、室内暮らしの自然な結果かもしれません。

🐕 うちの 子は 換毛期が ある?
換毛期があるのは、アンダーコートを持つダブルコートの犬種です。着替えるべきアンダーコートを持たないシングルコートの犬種には、換毛期はありません。
ダブルコート
- 代表的な犬種
- 柴犬、コーギー、ゴールデンレトリバー、ポメラニアン、チワワ(ロング)
- 抜け毛の出方
- 春と秋にごっそり。ブラシでアンダーコートの塊が取れる
シングルコート(長毛)
- 代表的な犬種
- トイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリア
- 抜け毛の出方
- 抜け毛は少なめ。そのかわり毛が伸び続けるのでカットが必要
シングルコート(短毛)
- 代表的な犬種
- ボストンテリア、フレンチブルドッグ、ミニチュアピンシャー
- 抜け毛の出方
- 換毛期はないのに、年中パラパラ抜ける(源はここ)
源は、この最後の「短毛のシングルコート」です。「換毛期がない=抜けない」と思い込んでいたのが、我が家の間違いでした。毛には1本1本に寿命があって、生えて、成長が止まって、抜ける——このサイクル自体は、換毛期のない犬種でも回り続けています。短毛種は1本1本が短くて「抜けた塊」にならないぶん気づきにくいのですが、寿命を迎えた毛(死毛・しにげ)は毎日すこしずつ落ちています。黒い服についた毛が教えてくれるやつです。

🪮 ブラッシングは 何の ため?
「換毛期がない=ブラッシング不要」ではありませんでした。ブラッシングの目的は、抜け毛の回収だけではないからです。
- 皮膚の風通しをよくする——死毛がたまると蒸れやすく、皮膚トラブルのもとになります
- 皮膚の異常に早く気づく——できもの、赤み、乾燥。撫でるだけでは気づかない変化を、ブラシ越しに見つけられます
- マッサージになって、血行がよくなる——ブラシで皮膚をやさしく刺激すると血のめぐりがよくなり、毛の根元に栄養が届きやすくなります。皮脂が毛全体に行きわたって、ツヤも出ます。そして、撫でられる時間そのものが、犬にとってはリラックスの時間です
- 死毛を、部屋に散る前に回収する——こちらは人間側のメリットですが、服・ソファ・床の毛が目に見えて減ります
頻度の目安は、短毛のシングルコートなら週1〜2回で十分です。ダブルコートの子は、換毛期の間は毎日〜2日に1回に増やして、抜けたアンダーコートを追い出すイメージです。

🧤 道具は 「うちの子のコート」で 選ぶ

短毛シングル
- 道具
- ラバーブラシ/ミトン型
- 使い方のポイント
- 毛の流れに沿って撫でるだけ。ゴムの突起が死毛を絡め取ります。金属ピンは皮膚に強すぎるので不要です
ダブルコート
- 道具
- スリッカーブラシ+コーム
- 使い方のポイント
- アンダーコートを起こすようにかけます。力を入れず、皮膚に垂直に当てないのがコツです
長毛シングル
- 道具
- ピンブラシ+コーム
- 使い方のポイント
- もつれを毛先からほどきます。カット犬種は日々のもつれ取りが主目的です
🐶 源と ミトンブラシ、 やってみました
我が家が選んだのは、ペティオの「Porta ダブルラバーミトンブラシ」です。手のひらサイズのラバー製で、手にはめて使います。表と裏で突起が違っていて、長い突起の面はマッサージ用、短くて細かい突起の面は抜け毛取り用になっています。


選んだ理由は、この2つの面です。ブラシをかける、というより、撫でる延長でスキンシップをしながら毛が取れそうだと思ったからでした。ブラッシングをほとんどしてこなかった源に、金属のピンのブラシをいきなり当てるのは、お互いにハードルが高そうだったのもあります。
ブラシの詳細 / ペティオ公式ページより
- 素材
- 熱可塑性エラストマー樹脂(ラバー)
- 重さ
- 約90g
- 対象
- 全犬種
- 製造
- 日本
- 使い方
- もつれ毛をほぐしてから、用途に合わせた面を選んで、毛並みに沿ってゆっくりブラッシング
さて、源の反応です。初めて見せたとき、怖がる様子はありませんでした。それどころかおもちゃだと勘違いして、狙いを定めてきました。(笑)

いざ体にブラシを当てると、最初はくすぐったそうに身をよじりました。それでも何度かトライしているうちに、気持ちよさそうな表情をしてくれるようになりました。
そして、短い突起の面で少しブラシを通しただけで、小さな毛がしっかり絡め取れました。「短毛だから」と思っていた源でも、寿命を迎えた毛はこうやって毎日落ちているんだと、目で見て分かったのが収穫です。

🩺 換毛と 「病気の抜け毛」の 見分け方
最後にひとつだけ、健康の話をします。換毛やふだんの抜け毛は、全体から均等に抜けます。次のような抜け方は換毛ではないので、動物病院に相談してください。
抜け方 / 疑われること
- 部分的に毛が薄くなって、地肌が見える
- 皮膚炎、寄生虫、ホルモンの病気など
- 抜けたところの皮膚が赤い・フケが出る・かゆがる
- 皮膚炎、アレルギー、寄生虫など。かゆみが先にある場合は、まずその原因から調べます
- 左右対称に同じ場所が抜けていく
- ホルモンの病気(甲状腺など)のサインのことがあります
- 換毛期でもないのに、急に抜け毛が倍増した
- 体調の変化やストレス、食事の問題など
迷ったときの目安は、地肌が見える場所があるかどうかです。ブラシに毛がたくさんつくだけなら換毛の範囲ですが、地肌が見えるところができていたら、換毛では説明がつきません。
💬 よく ある 質問
換毛期がなくても、毛の1本1本には寿命があって、生えて、抜けて、を年中くり返しています。短毛のシングルコートは抜けた毛が塊にならないので気づきにくく、黒い服やソファで「意外と抜けている」と分かることが多いです。ラバーブラシやミトンで週1〜2回、死毛を回収してあげるといいでしょう。急に量が増えた、地肌が見える場所がある、という場合は換毛の範囲ではないので、動物病院に相談してください。
大丈夫です。ただ、順番が大事で、洗う前にひととおりブラッシングして死毛を減らしておくと、排水口の詰まりも、洗ったあとに毛が散るのも少なくなります。洗ったあとはしっかり乾かしてください。とくにダブルコートの子は、アンダーコートが濡れたままだと蒸れて皮膚トラブルのもとになります。ドライヤーで乾かしながらブラシをかけると、乾かす作業そのものが抜け毛取りになります。
まずは道具と時間を軽くしてみてください。金属ピンのブラシは皮膚への当たりが強いので、嫌がる子にはラバーブラシやミトン型のように「撫でる延長」でできるものから始めるのがおすすめです。1回1〜2分で切り上げて、終わったらおやつ、をくり返すと、ブラシ=いいことが起きる時間として覚えてくれます。無理に押さえつけて長時間やると、次から逃げるようになってしまうので、短く終えるのがコツです。
ダブルコートの換毛期には心強い道具です。ただ、刃でアンダーコートをかき出すしくみなので、力を入れたり毎日使ったりすると、抜けなくていいオーバーコートまで切ってしまったり、皮膚を傷めたりします。使うなら週1〜2回、毛の流れに沿って軽くかける程度で十分です。アンダーコートのないシングルコートの子には、そもそも出番がありません。皮膚に赤みや傷があるときに使うのは避けてください。
体の全体から均等に抜けていて、地肌が見える場所がなければ、まず換毛や日常の抜け毛の範囲です。逆に、部分的に薄くなって地肌が見える、皮膚が赤い・フケ・かゆがる、左右対称に同じ場所が抜ける、換毛期でもないのに急に倍増した、という抜け方は換毛では説明がつきません。動物病院で、抜け方のパターンを見てもらってください。
📌 まとめ
- 換毛期はダブルコートの犬種がアンダーコートを着替える年2回のイベント。合図は気温だけでなく日の長さ
- 室内暮らしの子は換毛期がダラダラと年中型になりやすい
- 換毛期がない犬種でも、死毛は年中抜けている(短毛シングルの源で実感)
- ブラッシングは皮膚の風通し+健康チェック+マッサージ、そして抜け毛回収。短毛は週1〜2回、ダブルコートの換毛期は毎日〜2日に1回
- 道具はコートのタイプで選ぶ。短毛にはラバーブラシ/ミトンがやさしい
- 地肌が見える・皮膚が赤い・かゆがる抜け方は換毛ではなく、受診のサイン
秋の換毛期は、これからが本番です。柴犬やコーギーのお家は、ブラシの出番が増える季節。そして、うちの子はシングルコートだからと思っていた方も、一度ブラシを当ててみてください。思っているより、抜けているかもしれません。
抜け毛が減るだけではなく、ブラシを通す数分は、愛犬と向き合う時間にもなります。ブラッシングの習慣が、愛犬との絆を深めてくれるかもしれません。
📚 出典・ 参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。抜け方が気になるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。
- Merck Veterinary Manual「The Integumentary System in Animals」——毛周期(成長期・退行期・休止期)、換毛は気温と日照時間の変化への反応、毛の成長は栄養・ホルモン・日照時間で調節される
- Merck Veterinary Manual「Hair Loss (Alopecia) in Dogs」——通常の抜け毛と脱毛症の見分け(脱毛斑・左右対称)、かゆみを伴う場合はかゆみの原因を先に調べる
- American Kennel Club「Dog Shedding: When Dogs Shed Most and How to Manage It」——春と秋に多い、合図は日照と気温、室内で照明・空調が一定の犬は年中少しずつ抜ける
- American Kennel Club「What Is a Double Coat, and What Dog Breeds Are Double-Coated?」——ダブルコート/シングルコートの違いと代表犬種
- American Kennel Club「Dog Brushes: How to Choose the Right Dog Brush for Your Pet」——ラバーブラシは短毛向き、スリッカーブラシは中長毛・巻き毛向き
- American Kennel Club「Boston Terrier」——週1回のブラッシング(柔らかいブラシ、グルーミングミトン、ハウンドグローブ)


