
犬の 寒さ対策室内の 温度と こたつ・ 湯たんぽの 注意点
寒くなってくると、犬も寒さを感じます。ただ、どのくらい寒さに強いかは、被毛や体の大きさ、年齢、健康状態によって一頭ずつ違います。同じ部屋にいても、平気な子もいれば、毛布にもぐりこんで出てこない子もいます。
この記事では、部屋の温度と湿度、寝床の置き場所、こたつや湯たんぽなど暖房器具の使い方、留守番のときやお散歩の前後に気をつけたいことをまとめました。暖房器具は、犬が心地よく感じる程度の温かさでも、長く触れていると、気づかないうちに低温やけどになることがあります。暖めるだけでなく、暖めすぎないことも大切です。
🥶 犬が 寒がっている サインと、 寒さに 弱い 犬

寒がっているときの様子
- 体を丸めて、小さくなっています
- 小刻みに震えています
- 元気や食欲が落ちています
- 呼吸が浅くなっています
こんな様子が見えたら、部屋の温度や寝床を見直すタイミングです。震えが長く続くときは、寒さだけでなく体調がよくないこともあります(7章)。
寒さに弱い犬
こんな犬 / 寒さに弱い理由
- 子犬
- 体が成長している途中で、被毛や体脂肪がまだ十分ではありません
- シニア犬
- 年齢とともに、体温を調節するはたらきが弱くなります
- 小型犬
- 体が小さいぶん、体にためておける熱が少なくなります
- 毛の短い犬(フレンチ・ブルドッグなど)
- 寒さから体を守る被毛が少なく、早く冷えます
- 持病のある犬
- 糖尿病・心臓病・腎臓病・ホルモンの病気があると、体温の調節が難しくなることがあります
毛が長い犬や、被毛の厚い犬は、寒さに強い傾向があります。それでも寒さの影響を受けないわけではないので、寒そうにしていないか、様子を見てあげましょう。
🌡️ 冬の 室温と 湿度の 目安
冬の室温と湿度の目安は、出典によって少し幅があります。どちらも「このくらいを目安に」という数字なので、温度計を見ながら、犬の様子に合わせて調整してみてください。
だれの目安 / 室温・湿度
- 獣医師の解説
- 室温20〜22℃、湿度40〜60%。室温が15℃を下回ると、体調への悪影響が心配されます
- 動物病院のコラム
- 室温18〜25℃くらい、湿度50〜60%。犬の特徴に合わせた調整が必要です
温度計は犬のいる高さに
部屋の温度は、高さや場所によって違うことがあります。エアコンの設定温度どおりとは限らず、場所によっては思ったより暑くなっていることもあります。温度計は、犬がいる床の近くに置いて確かめると安心です。
暖房をつけたら、湿度も見る
暖房をつけると、部屋の空気は乾きます。冬の乾燥は脱水を進めるとされているので、加湿器などで湿度も保つようにしましょう。暖めすぎも脱水のもとになるため、部屋が暑くなりすぎていないかも、ときどき確かめておくといいですね。
🛏️ 寝床と ケージの 置き場所

窓際やドアの近くは、外の冷たい空気が入りこみやすい場所です。ふだんそこに寝床やケージを置いているなら、室温が安定した暖かい場所に移してあげましょう。

- 床から伝わる冷えを防ぐには、ベッドの下にマットやカーペットを敷くのが手軽です
- 子犬やシニア犬、毛の短い小型犬は、暖かいベッドやソファの上で過ごせるように、家具の置き方を見直してみてください
- 暑いと感じたら自分で場所を変えられるように、寝る場所を何か所か用意し、ほかの部屋への通り道も開けておきます
関節の病気がある犬は、寒くて湿った時期に暖かくして、寝床にクッションを足すと楽に過ごせることがあります。
🔥 こたつ・ 湯たんぽ・ ホットカーペットなど 暖房器具の 注意
低温やけどに気をつける
低温やけどは、あたたかいと感じる程度の熱(約40〜50℃)に長く触れて起こるやけどです。心地よい温かさなので痛みを感じにくく、同じ姿勢で眠り続けているうちに、気づかないうちに体の深いところまでやけどすることがあります。犬の低温やけどは、ペット用ヒーターや湯たんぽ、こたつ、電気毛布、ホットカーペットが原因になることが多いとされています。
犬は全身が毛でおおわれているので、皮膚の変化が見えにくく、やけどに気づくのが遅れることがあります。低温やけどは犬自身も熱さに気づきにくいので、暖房器具は長い時間使わず、使うときは目を離さないのが基本です。自分で歩くのが難しい犬や子犬は、同じところが温められ続けないよう、2〜3時間おきに寝返りをさせるとよいとされています。低温やけどの症状は、7章にまとめています。
器具ごとの使い方

器具 / 気をつけたいこと
- エアコン
- 部屋全体を暖めるので、体の一部だけが熱くなる心配が少ない器具です。乾燥しやすいので、湿度もあわせて見ておきます
- ホットカーペット・電気毛布
- 直接寝かせず、毛布などを1枚はさみます。タイマーを使い、暑すぎるときに移れるよう、敷いていない場所も残しておきます
- こたつ
- 中は高温で乾燥し、40℃近くになることもあります。長い時間入りっぱなしにならないようにします。出入りできるすき間を作り、中の温度も確かめておきます
- 湯たんぽ
- 低温やけどの原因になりやすい器具です。直接触れないようにタオルや毛布で包み、体の同じところに長く当たらないようにします
- ストーブ・ファンヒーター
- さわってやけどをしたり、ぶつかって倒して火事につながったりすることがあります。囲いを置いて近づけないようにし、まわりには燃えやすいものや犬が気になるものを置かないようにします
- 蒸気が出る加湿器
- 蒸気でやけどをすることがあります。犬が近づかないようにしておくと安心です
電気コードを噛まないように
冬は、こたつやホットカーペットのコードが床をはうことが増えます。とくに子犬はコードを噛みやすく、口の中をやけどしたり、感電したりすることがあります。コードは犬の届かないところにまとめるか、コードカバーで覆っておきます。
🌙 留守番の とき・ 目を 離すとき
留守番のときや目を離すときは、犬が暖房器具のそばで眠りこんでいても、すぐには気づけません。そのため、ホットカーペットやこたつ、湯たんぽは使わずに、エアコンで部屋ごと暖めて、毛布で温かくしてあげるのがおすすめです。
- 使っていない暖房器具は、スイッチを切ってプラグを抜いておきます
- 長く留守にするときは、部屋が暑くなりすぎないよう、エアコンの温度を高くしすぎないようにしましょう
- 水をいつでも飲めるように、暖かい部屋に水飲み場を用意します。何か所かに置けると、なおいいですね
- 3章と同じく、暑くなったときに移れるよう、ほかの部屋への通り道は開けておきます
冬は、大雪などで停電することもあります。少なくとも5日分のフードと水、薬を用意しておくと、いざというときに慌てずにすみます。
🐾 お散歩の 前後に 気を つけたい こと

暖かい部屋から寒い外に出るお散歩も、冬は少しだけ準備をしてあげたい時間です。とても寒い日は、犬にとっても人にとっても負担が大きいので、いつもより短めにしても大丈夫です。
- 毛の短い犬や寒さを嫌がる犬には、セーターや犬用のコートを着せるのもひとつです
- 濡れた服はかえって体を冷やすので、雨や雪で濡れたら乾いた服に着替えさせます
- 関節の病気がある犬やシニア犬は、雪や凍った道で滑ったり転んだりしやすいことがあります。足元に気をつけて歩いてあげたいところです
- 肉球にひび割れや出血がないか、ときどき見ておきましょう
雪の多い地域では、道にまかれた融雪剤が足やお腹につくことがあります。犬がなめると具合が悪くなることがあるので、帰ったら足先や脚、お腹を拭くか洗うといいでしょう。肉球のお手入れは、肉球ケアの記事にまとめています。
🏥 動物病院に 相談したい とき
こんなとき / すること
- 寒い場所に長くいたあと、ぐったりして動きがにぶい・呼吸が浅い・倒れる
- 体が冷えきっているかもしれません。すぐに動物病院に電話してください
- 電気コードを噛んで、感電したかもしれない
- 元気そうに見えても、すぐに動物病院に電話してください(4章)
- 同じ場所をしきりになめる・一部だけ毛が抜けている・さわると嫌がる・皮膚が赤い・水ぶくれがある
- 低温やけどかもしれません。見た目より深いところまで傷んでいることがあるので、患部を水で冷やしてから、早めに動物病院を受診してください
- 暖房の効いた部屋で、ハァハァしている・息が速い・ぐったりしている
- 暖めすぎかもしれません。暖房を切って涼しい部屋に移し、急に冷やしすぎないようにします。ぐったりしている・吐く・よくならないときは、できるだけ早く動物病院を受診してください
- 震えが長く続く
- 寒さ以外の体調不良のこともあります。動物病院に相談してください
体が冷えきっているかどうかは、震えだけでは見分けられないとされています。震えていなくても、ぐったりしている、呼吸が浅いといった様子があれば、上の表のとおりに動いてください。
🐶 番外編:編集部の 源の 冬
編集部の源(ボストン・テリア)が、冬をどう過ごしているかを紹介します。
ファンヒーターの前に座りこむ


源は、ファンヒーターの前が暖かい場所だと分かっていて、冬になるとよくその前に座りこんでいます。ヒーターに向かって丸まった、哀愁ただよう背中に思わず笑ってしまうのが、毎年の冬です。ただ、目を離すと、温風の吹き出し口にくっついていることもあるので、家族が気をつけて見守っています。
実は、源の家ではヒーターのまわりに囲いを置いていません。この記事を書きながら、ペット用の囲いがあることを知りました。今年の冬は、囲いを置くことを考えています。
こたつは自分で出たり入ったり


こたつには、源が自分で入っていきます。暑くなると自分で出てきて、また入って、と出たり入ったりしながら温度を調整しています。足だけ出していることもあります。
ただ、源もシニア期にさしかかり、最近は眠りが深く、眠る時間も長くなってきました。低温やけどは、同じ姿勢で眠り続けているうちに起こることが多いとされています(4章)。自分で出てこられるから大丈夫、と源の感覚を信用しすぎないようにしています。
💬 よく ある 質問
獣医師の解説では室温20〜22℃・湿度40〜60%、動物病院のコラムでは室温18〜25℃くらい・湿度50〜60%が目安とされています。部屋の中でも高さや場所によって温度が違うので、温度計は犬のいる床の近くに置いて確かめるといいでしょう。数字はあくまで目安なので、犬の様子を見ながら調整してみてください。
毛が長い犬や被毛の厚い犬は、寒さに強い傾向があります。ただ、それでも寒さの影響を受けないわけではありません。反対に、子犬やシニア犬、小型犬、毛の短い犬、持病のある犬は寒さに弱いとされています。同じ犬種でも一頭ずつ違うので、その子の様子に合わせて考えることが大切です。
室温が15℃を下回ると、体調への悪影響が心配されます。とくに子犬やシニア犬、小型犬、毛の短い犬は寒さに弱いので、部屋の温度を見て、寒いときは暖房で暖めてあげましょう。体を丸めている、震えているといった様子も、暖房を使うかどうかの目安になります。
こたつの中は高温で乾燥し、40℃近くになることもあります。長い時間入りっぱなしになると、低温やけどや脱水につながることがあります。入れるときは、出入りできるすき間を作り、ときどき中の温度を確かめるといいでしょう。留守番のときや目を離すときは、こたつは使わずに、エアコンで部屋ごと暖めるのがおすすめです。
使えますが、低温やけどに気をつけてください。心地よい温かさ(約40〜50℃)でも、長く触れていると、気づかないうちに体の深いところまでやけどすることがあります。犬自身も熱さに気づきにくいので、長い時間使わず、使うときは目を離さないのが基本です。ホットカーペットには毛布などを1枚はさみ、タイマーを使います。留守番のときや目を離すときは、エアコンと毛布で暖めるようにしましょう。
📚 出典・ 参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。愛犬の様子がいつもと違うときは、動物病院に相談してください。
- 三菱電機 霧ヶ峰PR事務局(2022)「獣医師が教えるペットのための冬の室内環境づくり」解説:茂木千恵(獣医師)——犬にとって快適な室温は20〜22℃、湿度は40〜60%がおすすめ。室温が15℃未満になると体調への悪影響が懸念される。子犬・年配の犬・小型の短毛の犬・健康状態の悪い犬は暖かいベッドやソファの上で過ごせる家具配置を。他の部屋への通路を開けておく。こたつやホットカーペットは長時間使用させない
- 姉ヶ崎どうぶつ病院(2025)「寒がりな犬種必見!」——快適な室温は18〜25℃程度、湿度50〜60%。小型犬・短毛種・高齢犬・子犬は寒さに弱い。震え・元気や食欲の低下・呼吸が浅くなる・身体を丸めるなどのサイン、震えが長く続く場合は体調不良の可能性。窓際やドア付近を避け、ベッドの下にマットを敷く
- 川崎市獣医師会「冬でも起こる『脱水』と『冬季熱中症』」かわペット(2025)——原因の多くは室内の暖房環境。冬の乾燥が脱水を進める。こたつは高温・乾燥・低酸素で、中は40℃近くになることも。初期症状はハァハァする・息が速い・ぐったりなど。暖房を切って涼しい部屋へ移し、改善しない・嘔吐があれば早めに受診。ホットカーペットは毛布を1枚挟みタイマーを使う。水飲み場を複数、加湿器で湿度40〜60%。温度計を床に置いて確認
- アニコム損保「犬の火傷(やけど)」犬との暮らし大百科(2026年1月更新、監修:中道瑞葉 獣医師)——低温火傷は約40〜50℃に長時間触れて起こり、気づかない間に重症化しやすい。原因はペットヒーター・湯たんぽ・こたつ・電気毛布・ホットカーペットが多い。使うときは目を離さない。自力歩行が困難な犬や子犬は2〜3時間おきに寝返りを。留守番ではヒーターを使わずエアコンや毛布で。コードは届かないところで使い、コードカバーを
- アニコム損保「火傷(ヤケド)<犬>」みんなのどうぶつ病気大百科——全身が毛で覆われ皮膚の変化がわかりにくい。暖房器具には囲いを設ける。子犬は電気コードをかじって口の粘膜をやけどすることがある。留守のときは暖房器具を切る
- 茶屋ヶ坂動物病院(2025)「冬は犬猫のやけどに注意」——毛に覆われたペットのやけどは気づきにくい。暖房器具や加湿器など蒸気が出るものに注意。同じ場所をなめる、一部だけ毛が抜ける、触ると嫌がる、皮膚が赤い、水ぶくれなどのサイン。気づいたときには重症化していることがあり、患部を冷やしたあと必ず受診を
- さかきばら動物病院「犬の膀胱炎について」——冬場は飲水量が減る傾向があり、水飲み場を増やす、温かい部屋に移すなどの工夫を
- 製品評価技術基盤機構(NITE)(2024)「“もふもふプッシュ”にご用心~『ペットによる火災事故』を防ぐポイント~」——ペットが電気ストーブに接触して倒れ、火災になった事例。暖房器具の周りに可燃物やペットの興味を引く物を置かない。外出時はプラグを抜く
- American Veterinary Medical Association「Cold weather animal safety」——寒さへの強さは被毛・体脂肪・活動量・健康状態で異なる。糖尿病・心臓病・腎臓病・ホルモンの異常があると体温調節が難しくなることがある。寒さは関節炎を悪化させることがある。暖房器具はやけどや転倒の原因に。とても寒い日は散歩を短く、短毛の犬にはセーターを、濡れた服はかえって冷える。散歩中に足・脚・お腹についた融雪剤などの薬品をなめると具合が悪くなることがあるので、散歩後は拭くか洗う。肉球のひび割れや出血を確かめる。停電に備え少なくとも5日分の食べ物・水・薬を
- Textor J「What to Do in a Dog or Cat Emergency」Merck Veterinary Manual(2025年12月)——低体温症のサインは脈が遅い・呼吸が浅い・倒れるなど。震えは低体温症の当てになるサインではない。被毛が傷を隠すのでやけどは見きわめにくい
- Textor J「Lightning Strike and Electrical Injury」Merck Veterinary Manual(2025年12月)——電気コードを噛むことでけがや死亡が起こりうる。口のやけどや肺に水がたまることがある。軽く見えてもすぐに獣医師に電話を
- Allweiler S「Chronic Pain in Animals」Merck Veterinary Manual(2024年9月更新)——骨関節炎では、寒く湿った天候のときに暖かくし、寝具やクッションを足すことで快適さが増すことがある



