
犬に ほうれん草は あげていい?生でも 大丈夫? 1日の 量と、 シュウ酸を 減らすゆで 方
寒くなると、ほうれん草が甘くおいしくなりますね。おひたしやごま和えを作りながら、うちの子にも少し分けてあげたいな、と思う方もいるかもしれません。
ほうれん草は、ゆでて味をつけずに刻めば、犬も食べられます。1 日の目安は、体重5kgでゆでる前の約 1/2 株です。ゆでるのがおすすめなのは、ほうれん草に多いシュウ酸という成分が、ゆでるとゆで汁に出ていくからです。
人のために味つけしたおひたしやごま和え、バター炒めは、塩分や脂肪が多いのであげられません。なぜあげられないのか、理由も4章にまとめました。
🥬 犬に ほうれん草は あげていい? 生でも 大丈夫?
ほうれん草は、犬にとって毒になる食べものとはされていません。
動物中毒センターの犬の植物リストに、ほうれん草は載っていません。生のほうれん草は 100 g で 18 kcal、そのうち 92.4 g が水分の、低カロリーな野菜です。
ただ、ほうれん草にはシュウ酸という成分が多くふくまれています。生のほうれん草 100 g には、シュウ酸が 0.7 g あります。シュウ酸はカルシウムと結びつきやすい成分です。犬に多い結石のひとつに、尿の中でシュウ酸とカルシウムが結びついてできるシュウ酸カルシウム結石があります。この結石がなぜできるのかは、まだはっきりしていません。それでも、ゆでるだけで減らせるので、ほうれん草はゆでてシュウ酸を減らしてからあげるようにしましょう。
シュウ酸は水に溶けやすいので、ゆでるとゆで汁に出ていきます。春にとれたほうれん草をゆでた研究では、ほうれん草の 5 倍の量のお湯でゆでると、シュウ酸は生のときの約 6 割に、お湯を 20 倍に増やすと約 4.5 割まで減りました。秋にとれたほうれん草の研究でも、ゆでたあとのシュウ酸は生のときの約 6 割でした。ひと手間ですが、ゆでてゆで汁を捨てるだけで、シュウ酸をかなり減らせます。
健康な子が少しのほうれん草を食べて結石になる、と示した資料は、探した範囲では見つかりませんでした。生の葉を少しつまみ食いしたくらいなら、心配しすぎなくて大丈夫です。結石と診断されたことのある子は、5章を先に読んでください。
⚖️ ほうれん草は 1日どの くらい? 毎日 あげていい?
体重5kgなら、1 日にゆでる前の約 1/2 株までが目安です。こんなに低カロリーなのに少しだけ?と思うかもしれませんね。

ほうれん草は 100 g に食物繊維が 2.8 g あり、白菜や大根の 2 倍ほどです。食物繊維には便の量を増やし、便通をよくするはたらきがあり、多すぎると栄養の吸収を妨げることもあります。カロリーは少なくても、たくさん食べればお腹がゆるくなりやすいのです。なのでほうれん草の量は、カロリーではなく、お腹の具合で決めます。
目安にしたのは、獣医学書で、便秘の犬の便通をよくするために足す食物繊維の量です。この記事では、それよりも控えめな量を、1 日のおおよその目安にしました。
3 kg
- 生のほうれん草
- 15 g
- 1日の目安
- 約 1/2 株
5 kg
- 生のほうれん草
- 15 g
- 1日の目安
- 約 1/2 株
8 kg
- 生のほうれん草
- 31 g
- 1日の目安
- 約 1 株
10 kg
- 生のほうれん草
- 31 g
- 1日の目安
- 約 1 株
15 kg
- 生のほうれん草
- 47 g
- 1日の目安
- 約 1 と 1/2 株
20 kg
- 生のほうれん草
- 47 g
- 1日の目安
- 約 1 と 1/2 株
30 kg
- 生のほうれん草
- 63 g
- 1日の目安
- 約 2 株
この目安は、1 日にあげるほうれん草のトータルの量です。何回かに分けてあげる日も、合わせてこの量までにします。白菜やブロッコリーなど、ほかの野菜もあげる日は、そのぶんほうれん草を減らすようにしましょう。
カロリーだけで見れば、体重5kgで 155〜195 g まであげられる計算です。ですがほうれん草では、そこまで行く前に繊維が多くなりすぎるので、目安は表の量までです。
株の数は、根元を切り落としたほうれん草 1 株を約 30 g として数えています。ゆでるとかさが減って数えにくいので、ゆでる前の生の株で数えます。
表の量は、1 日にあげる上限の目安です。この目安は便秘の犬の便通をよくするために足す繊維の量をもとにしているので、毎日続けると便がゆるくなる子もいます。毎日あげるなら表より少なめにして、便がゆるくなったら量を減らすか、間をあけるといいでしょう。持病のある子は、5章を先に読んでください。
🔪 ほうれん草の ゆで 方・ あげ方
- よく洗って、根元を切り落とす… 根元の葉が重なったところには土が残りやすいので、根元を切り落としてから 1 本ずつ洗います
- たっぷりのお湯でゆでて、ゆで汁は捨てる… シュウ酸はゆで汁に出ていくので、ゆで汁は捨てましょう。春にとれたほうれん草の研究では、お湯をほうれん草の 5 倍から 20 倍に増やすと、シュウ酸はさらに減りました
- 水にさらして、しぼる… ゆでたあと水にさらしてしぼるまでが、シュウ酸を減らす下ごしらえです。しぼると、葉に残ったゆで汁も出ていきます
- 細かく刻む… 長いままだと丸のみしやすいので、葉も茎も細かく刻んであげましょう。体の小さい子やシニアの子には、とくに細かくすると食べやすくなります
- 味はつけない… しょうゆやかつお節、ごまはかけず、ほうれん草だけであげます
初めての日は、刻んだものをひと口だけにして、その日と翌日の便を見ておくと安心です。食物アレルギーはどんな食べものでも起こりうるので、かゆがる、吐く、下痢をするといった様子があれば、ほうれん草をやめて動物病院に相談してください。
🍲 おひたし・ ごま和え・ バター炒めは あげていい?
あげるのは、味をつけずにゆでたほうれん草だけにしてください。

- おひたし… しょうゆやだしじょうゆがしみています。しょうゆは 100 g に食塩相当量が 14.5 g ある、塩分の多い調味料なので、あげるのは避けてください
- ごま和え… 砂糖としょうゆで味をつけてあり、ごまは脂肪の多い食べものです。人の味つけのままなので、あげないでください
- バター炒め・ベーコンとのソテー… バターやベーコンの脂肪と塩分が多く、にんにくを一緒に炒めることもあります。人の料理をつまみ食いすることは、犬の膵炎(すいえん)のきっかけのひとつと考えられています
- みそ汁・鍋… 長ねぎや玉ねぎを一緒に入れることがよくあります。ねぎ類の成分は加熱しても壊れず、汁に溶け出します。ほうれん草だけを選んでも汁を吸っているので、あげないでください
- キッシュ・グラタン… 玉ねぎやベーコン、チーズ、生クリームを使うことが多い料理です。あげるのは避けてください
一緒に楽しみたい日は、おひたしを作るときに、味をつける前のほうれん草を少し取り分けておくのがおすすめです。ゆでてしぼったところで分けておけば、ひと手間も増えません。
🩺 持病の ある 子に ほうれん草を あげても いい?
療法食を食べている子や、持病で食事を管理している子は、ほうれん草をあげる前にかかりつけの先生に相談してください。
- 結石(とくにシュウ酸カルシウム結石)… 結石の再発予防の基本は、水分を多くとって尿を薄くすることなどです。シュウ酸カルシウム結石の犬について、シュウ酸の多い食べものは結石に関わるかもしれないとして、ほうれん草などを避けるよう勧める獣医師向けの解説もあります。シュウ酸カルシウム結石と診断されたことのある子には、ゆでたものでもあげないでおくと安心です
- 腎臓病… 腎臓病の食事で柱になるのは、リンを抑えることです。ほうれん草のリンは 100 g に 47 mg ですが、療法食はリンなどの量を調整して作られているので、ほかの食べものを足すと、そのバランスがくずれてしまいます
- お腹が弱い子… ほうれん草は、白菜や大根より食物繊維の多い野菜です。お腹をこわしやすい子は、やわらかくゆでて刻んだものをひと口までにして、様子を見てあげましょう
結石があると、おしっこが出にくい、少しずつしか出ずに力む、血が混じる、といったサインが出ることがあります。シュウ酸カルシウム結石は療法食や薬では溶かせないとされていて、必要なときは、手術などで取り出します。結石が尿道に詰まって、何度もトイレに行くのにおしっこがほとんど出ないときは、急いで診てもらう必要があるので、すぐに動物病院に電話してください。
体に負担がかかるおそれがあるなら、あげないのがいちばんです。どうしても分けてあげたいときは、「ほうれん草をどのくらい、週に何回あげたいか」を先生に伝えて相談すると、判断してもらいやすくなります。
白菜は、生でも加熱しても、小さく切れば少し一緒に楽しめます。ほかの冬の野菜も気になる方は、こちらも読んでみてください。

📞 ほうれん草を たくさん 食べてしまったら
生のほうれん草をたくさん食べてしまったときも、ほうれん草を犬の中毒の原因とする資料は見つかりません。ただ繊維が多いので、お腹がゆるくなることはあります。
その日と翌日の便を見ておき、何度も吐く、下痢が翌日も続く、ぐったりしているときは、動物病院に電話してください。結石や腎臓病で治療中の子は、元気に見えても、一度電話で相談しておくと安心です。
みそ汁や鍋のほうれん草、キッシュなど、ねぎ類が入った料理を食べたときは、元気に見えても動物病院に電話してください。ねぎ類による症状は、数日たってから出ることがあります。何を・どのくらい・いつ食べたかと体重を伝えると、判断してもらいやすくなります。
💬 よく ある 質問
いつからという決まりはありません。離乳が終わって、ふだんのごはんを問題なく食べている子なら、少量からあげられます。やわらかくゆでて細かく刻み、初日はひと口から始めてみてください。体重別の表は成犬の数字なので、子犬にはそのまま当てはまりません。
どちらも、ゆでて小さく刻めば少しなら食べられます。食品成分表では、小松菜にはシュウ酸の値がのっておらず、食物繊維も100 gに1.9 gとほうれん草(2.8 g)より少なめです。この記事と同じ考え方で計算すると、小松菜は体重5kgで約23 gが目安になります。小松菜は白菜と同じアブラナ科の野菜です。アブラナ科の野菜には甲状腺のはたらきを邪魔する成分をもつものがあり、その成分は加熱で壊れ、大人の犬ではふつう問題にならないとされています。甲状腺の病気で治療中の子は、先生に相談してからにしてください。
味のついていないものなら使えます。市販の冷凍ほうれん草は、さっとゆでてから凍らせたもので、流水で解凍すると、自然に解凍するよりシュウ酸が少なかったという研究があります。もう一度ゆでてゆで汁を捨てるか、流水で解凍してから、しぼって刻むといいでしょう。食品成分表の冷凍ほうれん草には食塩相当量が100 gに0.3 gあるので、袋の原材料に食塩が入っていないかも確かめてください。食物繊維は100 gに3.3 gと生より少し多く、量は体重5kgで約13 gまでが目安です。
茎も根元も、毒になるとはされていません。ただ、根元の葉が重なったところには土が残りやすいので、切り落としてから洗うと、土を落としやすくなります。茎も長いままだと丸のみしやすいので、葉と同じように細かく刻むのがおすすめです。
ゆで汁には、ほうれん草から出たシュウ酸が溶けています。ゆでて減らしたシュウ酸をもう一度とることになるので、ゆで汁は捨てましょう。ごはんに水分を足したいときは、普通の水かぬるま湯にしましょう。
📚 出典・ 参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。持病のある子は、あげる前にかかりつけの獣医師に相談してください。
- 文部科学省「日本食品標準成分表」ほうれんそう/葉/通年平均/生(18 kcal、水分 92.4 g、食物繊維 2.8 g、リン 47 mg、食塩相当量 0 g)
- 同 ゆで(食物繊維 3.6 g、リン 43 mg)
- 同 冷凍(食物繊維 3.3 g、食塩相当量 0.3 g)
- 同 有機酸成分表 ほうれんそう/葉/通年平均/生(シュウ酸 0.7 g)
- 同 有機酸成分表 ほうれんそう/葉/冷凍(シュウ酸 0.5 g)
- 同 こまつな/葉/生(食物繊維 1.9 g。有機酸成分表に値なし)
- 同 こいくちしょうゆ(食塩相当量 14.5 g)
- 食品安全委員会 第1回企画等専門調査会(2011)資料「シュウ酸塩等」——シュウ酸はカルシウムイオンと強く結合する。ほうれんそうなどに水溶性シュウ酸塩がふくまれる
- 和泉眞喜子・高屋むつ子・長澤孝志(2005)「ゆで水量の違いがホウレンソウの食味やシュウ酸ならびにカリウム含量に及ぼす影響」日本調理科学会誌 38(4)——春どりのほうれん草で、ゆで水 5 倍でシュウ酸が生の約 61%、20 倍で 45% に
- 和泉眞喜子ほか(2008)「秋期ホウレンソウの品種,栽培条件,生育期間の違いによる有機酸や糖含量等の変動および茹で調理による変化,食味との関連」日本調理科学会誌 41(2)——シュウ酸の茹で後の残存率はいずれも 60% 程度
- 樋口誉誌子・山田正子(2020)「市販冷凍ほうれん草の解凍方法の違いによるシュウ酸含有量の比較」東京家政学院大学紀要 60——茹で→水さらし→搾りの下ごしらえで水溶性のシュウ酸が減る(和泉ら 2005 の引用)。冷凍品は自然解凍より流水解凍のほうがシュウ酸が少ない
- ASPCA「Toxic and Non-Toxic Plant List — Dogs」——ほうれん草(Spinacia oleracea)は載っていない
- Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」——食物繊維は便の量を増やし、多すぎると栄養の吸収を妨げうる
- Merck Veterinary Manual「Constipation, Obstipation, and Megacolon in Small Animals」——便秘の犬のごはんに、かぼちゃを 1 食に大さじ 1〜4 杯足す方法
- USDA FoodData Central「Pumpkin, canned, without salt」(食物繊維 2.9 g/100 g、1 cup = 245 g)——大さじ 1 杯ぶんの食物繊維の計算に使用
- Merck Veterinary Manual「Feeding Practices in Small Animals」——おやつは 1 日の総カロリーの 10% 未満
- WSAVA「Calorie Ranges for an Average Healthy Adult Dog in Ideal Body Condition」(体重別の1日の必要カロリー)
- Eatreat「【野菜編】食材の目安量一覧」——ほうれんそう 1 株 30 g(正味量)。株の数の計算に使用
- Merck Veterinary Manual「Urolithiasis in Dogs」——シュウ酸カルシウム結石は犬でもっとも多い結石のひとつ。療法食や薬で溶かすことはできない
- Merck Veterinary Manual「Overview of Urolithiasis in Small Animals」——結石のサインは排尿困難・血尿・しぶり。結石は手術などで取り出せる
- Merck Veterinary Manual「Urethral Obstruction in Small Animals」——尿道閉塞は緊急の状態。何度も排尿しようとしても出ないことがある
- Lulich et al.(2016)ACVIM 尿石症コンセンサス——シュウ酸カルシウム結石の再発予防は、高水分食で尿を薄くする・尿を酸性にしない・過剰なタンパク質を避ける
- Cook, Atiee(2026)「Understanding and Addressing Canine Calcium Oxalate Urolithiasis」Today's Veterinary Practice——シュウ酸の多い食べもの(ほうれん草など)は避ける
- IRIS「Treatment Recommendation for CKD in Dogs」(2026)——食事はリンを抑えた腎臓病の療法食
- Merck Veterinary Manual「Goiter in Animals」——キャベツやかぶなどアブラナ科の野菜の甲状腺腫を起こす物質は大豆より弱く、加熱で壊れる。成獣ではふつう臨床的に問題にならない(FAQ の小松菜)
- Merck Veterinary Manual「Pancreatitis in Small Animals」——犬では、食べてはいけないものを食べることが膵炎のよくある危険因子と考えられている
- Merck Veterinary Manual「Garlic and Onion (Allium spp) Toxicosis in Animals」——溶血は食べてから 3〜5 日で起こることが多い



