
犬に 大根は 大丈夫?葉や 大根おろしは? 1日どの くらい? 刺身の つま・ 切り干し・ おでんの 注意点
小さく切るかすりおろせば、生でも加熱しても、犬は大根を食べても大丈夫です。1 日の目安は、5 kg の子で 34 g、1 cm の輪切りの約 2/3 枚です。大根は低カロリーですが、水分と食物繊維が多く、たくさん食べるとお腹がゆるくなりやすいので、量はお腹の具合を基準に決めました。ただ、いきなり目安の量まではあげず、初めての日はすりおろしたものをひと口から試すのがおすすめです。
寒くなってくると、おでんや煮物、大根おろしと、大根の出番が増えますね。ぶどうは絶対NGですが、大根は少しなら、愛犬と一緒に楽しめます。低カロリーなのに少しだけにする理由も書いたので、あげる前に目安を確かめておきましょう。
🥢 犬に 大根は 大丈夫? 生でも いい?
大根は、犬にとって毒になる食べものとはされていません。
アメリカの動物中毒センター(ASPCA)の犬の植物リストに、大根は載っていません。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」も、与えてはいけないもの・注意が必要なものの表に大根を挙げていません。
生でも、加熱しても大丈夫です。生の大根は固いので、丸のみしないよう小さく切るか、すりおろしてあげます。大根は 100 g のうち 94.6 g が水分で、カロリーは 15 kcal です。皮つきでも皮なしでも、生でもゆでても、この数字はほとんど変わりません。
大根おろしの酵素や辛み成分が体にいい、という話もよく見かけますね。ただ、そうした研究は人やマウス、培養細胞が中心で、犬が大根を食べて確かめた研究は見つかりませんでした。大根は薬ではなく、水分の多い野菜として少し楽しむもの、と考えておくといいでしょう。
⚖️ 大根は 1日どの くらい? 毎日 あげていい?
5 kg の子なら、1 日 34 g(1 cm の輪切りの約 2/3 枚)までが目安です。こんなに低カロリーなのに少しだけ?と思うかもしれませんね。
大根は 100 g で 15 kcal と、とても低カロリーです。そのかわり、ほとんどが水分と食物繊維でできています。獣医学書は、食物繊維には便の量を増やし、便をやわらかくするはたらきがあり、多すぎると栄養の吸収を妨げることもあるとしています。カロリーは少なくても、たくさん食べればお腹がゆるくなりやすいのです。なので大根の量は、カロリーではなく、お腹の具合で決めます。
目安にしたのは、獣医学書(Merck Veterinary Manual)が、便秘の犬のごはんに便をやわらかくする目的で足すかぼちゃの量です。1 食に大さじ 1〜4 杯とされています。この記事では、体の小さい子ほど少ない杯数にあてはめ、それと同じ量の食物繊維を「1 日」の天井にしました。便秘のときの 1 食分を 1 日の目安にしているので、獣医学書の量より控えめです。なお、大根とかぼちゃの繊維が同じ働きをするわけではないので、繊維の量をそろえた、おおよその目安と考えてください。

3 kg
- 皮をむいた生の大根
- 34 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 2/3 枚
5 kg
- 皮をむいた生の大根
- 34 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 2/3 枚
8 kg
- 皮をむいた生の大根
- 68 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 1 と 1/3 枚
10 kg
- 皮をむいた生の大根
- 68 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 1 と 1/3 枚
15 kg
- 皮をむいた生の大根
- 102 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 2 枚
20 kg
- 皮をむいた生の大根
- 102 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 2 枚
30 kg
- 皮をむいた生の大根
- 136 g
- 1日の目安
- 輪切り 約 2 と 2/3 枚
この目安は、その日にあげる大根全部の量です。葉や切り干し大根、ほかの野菜もあげる日は、そのぶん大根を減らしてください。
カロリーだけで見れば、5 kg の子で 186〜234 g まであげられる計算です。ですが大根では、そこまで行く前に水分と繊維が多くなりすぎるので、表の量までにしておきましょう。
表の重さは、皮をむいた生の大根(汁ごとの大根おろしも同じ)です。輪切りの枚数は、JA えひめ中央のレシピにある「大根(4cm厚さ)200 g」から、1 cm の輪切り 1 枚を約 50 g として数えています。ゆでた大根は縮むぶん同じ重さでも繊維が多くなるので、表の 3/4 ほどにします。
表の量までなら、毎日あげてもかまいません。ただ、獣医学書は、便をやわらかくするために繊維を足すことを長く続けるのは勧めていません。毎日あげるなら表より少なめにして、便がゆるくなったら量を減らすか、間をあけるといいでしょう。糖尿病や腎臓病で療法食を食べている子は、あげる前にかかりつけの先生に相談してください。
🔪 大根の 根・ 皮・ 葉、 どこを どう 切る?
- 小さく切るか、すりおろす… 生の大根は固いので、丸のみしない大きさに切ります。子犬やシニアの子には、すりおろしたものや、やわらかく煮たものが食べやすいでしょう
- 皮はむいても、そのままでも… 皮つきと皮なしで、カロリーも食物繊維もほとんど変わりません。よく洗えば、皮つきのままでも大丈夫です
- 葉はゆでて、細かく刻む… 葉には根の約 3 倍の食物繊維があるので、量は根の 1/3 ほどにします。茎は固いので、細かく刻むと食べやすくなります
- 味はつけない… しょうゆやポン酢、塩はかけず、大根だけであげます

葉を生のまま食べてしまったときも、大根の葉を中毒の原因とする資料は見つかりません。ただ繊維が多いので、お腹がゆるくなることはあります。その日と翌日の便を見ておき、何度も吐く、下痢が翌日も続く、ぐったりしているときは、動物病院に電話してください。
🍢 大根おろし・ 刺身の つま・ 切り干し大根・ おでん・ たく あんは あげていい?
あげるのは、味をつけていない大根だけにしてください。

- 大根おろし… 汁ごとなら、生の大根と同じ数字で考えられるので、表の重さのままで大丈夫です。人の食卓に出すなら、しょうゆやポン酢をかける前に取り分けておくと手軽です。汁を搾ったおろしは、同じ重さで繊維が約 4 倍になるので、少なめにしましょう
- 刺身のつま… 中身は生の大根です。ただ、しょうゆやわさび、魚に触れているので、あげるなら水で洗い、細かく刻んで少しだけにしてください
- 切り干し大根… 乾物のままでは、100 g で 280 kcal、食物繊維 21.3 g と、生の大根よりずっと濃くなっています。あげるなら水で戻してゆで、味つけの前に取り分けます。戻してゆでると 100 g で 13 kcal まで下がりますが、繊維は生の大根の約 3 倍あるので、量は表の 1/3 ほどが目安です
- 切り干しの戻し汁… 戻し汁の成分は、食品成分表には載っていません。ただ、戻してゆでた切り干しに残るカリウムは、計算すると乾物の 1 割ほどで、残りは水のほうに出たと考えられます。療法食の子にはあげず、健康な子でも、ごはんを少し湿らせる程度にとどめると安心です
- おでん・煮物… だしやしょうゆがしみているので、あげるのは避けてください。一緒に楽しむなら、味をつける前にゆでた大根を取り分けておくのがおすすめです
- たくあん・漬物… 100 g あたりの食塩は、たくあんで 2.5〜3.3 g、みそ漬けでは 7.2 g あります。生の大根(0 g)とは別の食べものと考えて、あげないようにしてください
かぼちゃも、加熱して種とワタを取れば一緒に楽しめます。

💬 よく ある 質問
大根の酵素や辛み成分の健康効果は、人やマウス、培養細胞の研究が中心で、犬が大根を食べて確かめた研究は見つかりませんでした。辛み成分は、すりおろすとすぐに別の物質に変わることも分かっています。なので、薬のような効果は期待せず、汁ごとの大根おろしを少し、食べやすい形のおやつとして楽しむのがいいでしょう。
大根などアブラナ科の野菜には、甲状腺のはたらきを邪魔する成分をもつものがあります。ただ獣医学書(Merck)は、キャベツやかぶの成分は大豆より弱く、加熱で壊れ、大人の動物ではふつう問題にならないとしています。大根で犬の甲状腺に問題が出た報告も、探した範囲では見つかりませんでした。とはいえ、甲状腺の病気で治療中の子は、あげる前にかかりつけの先生に相談してください。
療法食を食べている子は、あげる前にかかりつけの先生に相談してください。大根のカリウムは100 gに230 mg(葉は400 mg)です。なお、犬の腎臓病の食事で柱になるのはリンを抑えることで(国際獣医腎臓病研究グループ IRIS)、カリウムを一律に減らすようには書かれていません。結石については、「大根の葉はシュウ酸が多い」と書く記事もありますが、食品成分表には大根のシュウ酸の値がなく、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)のガイドラインも、シュウ酸カルシウム結石の予防で挙げているのは、水分を多くとって尿を薄くすることなどです。
犬が大根でアレルギーを起こした報告は、探した範囲では見つかりませんでした。ただ、食物アレルギーはどんな食べものでも起こりえます。初めての日はひと口にして、かゆみ・下痢・嘔吐が出たら、大根をやめて動物病院に相談してください。
いつからという決まりはありません。離乳が終わって、ふだんのごはんを問題なく食べている子なら、少量からあげられます。すりおろすか、やわらかく煮てつぶし、初日はひと口から始めると安心です。体重別の表は成犬の数字なので、子犬にはそのまま当てはまりません。
一緒にあげてもかまいません。アメリカの動物中毒センター(ASPCA)も、にんじんなどの野菜は、生でも加熱しても、味をつけなければおやつによいとしています。ただ、どちらも食物繊維をふくむ野菜なので、2つを合わせた量で考えて、大根だけのときより控えめにするといいでしょう。
たくあんは100 gに食塩が2.5〜3.3 g入っていて、おでんの大根もだしやしょうゆがしみています。ひと切れほどで、元気も食欲もあるなら、新鮮な水を飲めるようにして様子を見てください。体の小さい子がたくさん食べた、何度も吐く、下痢が続く、元気がない——このどれかがあれば、動物病院に電話してください。
📚 出典・ 参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。持病のある子は、あげる前にかかりつけの獣医師に相談してください。
- 文部科学省「日本食品標準成分表」だいこん/根/皮なし/生(15 kcal、水分 94.6 g、食物繊維 1.3 g、カリウム 230 mg、食塩相当量 0 g)
- 同 根/皮つき/生(15 kcal、食物繊維 1.4 g)
- 同 根/皮なし/ゆで(15 kcal、食物繊維 1.7 g)
- 同 根/皮なし/生/おろし(汁を搾ったもの。食物繊維 5.1 g)
- 同 葉/ゆで(24 kcal、食物繊維 3.6 g。葉/生は食物繊維 4.0 g、カリウム 400 mg)
- 同 切干しだいこん/乾(280 kcal、食物繊維 21.3 g、カリウム 3,500 mg)
- 同 切干しだいこん/ゆで(13 kcal、食物繊維 3.7 g、カリウム 62 mg。水もどし後にゆでたもの、重さは乾物の 5.6 倍)
- 同 たくあん漬/干しだいこん漬(食塩相当量 2.5 g。塩押しだいこん漬は 3.3 g、みそ漬は 7.2 g)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」——汁ごとの大根おろしは「だいこん、根、皮なし、生」と同じ成分値と考えられる(第 3 章)。調理による重量変化率(表 12)
- ASPCA「Toxic and Non-Toxic Plant List — Dogs」——大根(Raphanus sativus)は載っていない
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」——与えてはいけないもの・注意が必要なものの表に大根はない
- Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」——食物繊維は便の量を増やし、多すぎると栄養の吸収を妨げうる
- Merck Veterinary Manual「Constipation, Obstipation, and Megacolon in Small Animals」——便秘の犬のごはんに、かぼちゃを 1 食に大さじ 1〜4 杯足す方法。下剤を長く使い続けることは勧めない
- USDA FoodData Central「Pumpkin, canned, without salt」(食物繊維 2.9 g/100 g、1 cup = 245 g)——大さじ 1 杯ぶんの食物繊維の計算に使用
- Fahey et al.(1990)Journal of Animal Science——犬の食事の食物繊維(ビートパルプ)を増やすと、便の量と回数が増えた
- Merck Veterinary Manual「Feeding Practices in Small Animals」——おやつは 1 日の総カロリーの 10% 未満
- WSAVA「Calorie Ranges for an Average Healthy Adult Dog in Ideal Body Condition」(体重別の1日の必要カロリー)
- AAHA「2021 Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」——おやつとそれ以外は総カロリーの 10% 以下
- WSAVA「Nutritional Assessment Guidelines」(2011)——おやつが総カロリーの 10% 超は栄養リスク要因
- 茨城県「青果物標準出荷規格」だいこん(中長系)——1 本の重さ M 0.8〜1.0 kg、L 1.0〜1.2 kg
- JAえひめ中央「【ベジ得レシピ】大根ステーキ」(栄養士 荒谷裕子 氏 考案)——材料「大根(4cm厚さ) 200g」。1 cm の輪切り 約 50 g の計算に使用
- Merck Veterinary Manual「Goiter in Animals」——アブラナ科の野菜の甲状腺腫を起こす物質は大豆より弱く、加熱で壊れる。成獣ではふつう臨床的に問題にならない
- Merck Veterinary Manual「Gastrointestinal Obstruction in Small Animals」——大きく丸いものは完全な閉塞を起こしやすい。閉塞のサイン
- IRIS「Treatment Recommendation for CKD in Dogs」(2026)——食事はリンを抑えた腎臓病の療法食
- Lulich et al.(2016)ACVIM 尿石症コンセンサス——シュウ酸カルシウム結石の再発予防は、高水分食で尿を薄くする・尿を酸性にしない・過剰なタンパク質を避ける
- ASPCA「Sharing is Caring: Foods You Can Safely Share with Your Pet」——にんじんなどの野菜は、生でも加熱してもおやつによい(味つけはしない)
- Okamoto et al.(2019)Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition——大根の辛み成分(MTBI)は、すりおろした大根の中ですぐに分解される(マウスの研究)



