
犬の 車酔い、 どうする?吐く 前の サインと 慣らす順番
車に乗せると、よだれが止まらない。着く前に吐いてしまう。そのあとぐったりしている姿を見ると、この子は苦しいんじゃないか、と心配になりますよね。
犬の車酔いには、慣らしていく順番があります。最初の一歩は、止まったままの車に乗って、降りるだけ。走り出すのは、そのあとです。ぜひ、そこから試してあげてください。
車酔いは、順番を踏んでいけば、軽くなっていくことがあります。この記事では、そのしくみと、吐く前に出ているサイン、止まった車から始める慣らし方、乗せる日の準備、病院に相談する目安までをまとめました。
🚗 な ぜ 酔うのか
獣医師向けの医学書によると、乗り物酔いの主なしくみは、内耳にある平衡をつかさどる器官が刺激されることです。ここは脳幹にある嘔吐中枢とつながっていて、揺れの刺激がそのまま吐き気の側に届きます。
海外の動物病院グループの獣医師たちは、車酔いは成犬より若い犬に多いとしています。理由として挙げられているのは、内耳の平衡に関わる部分が育ちきっていないこと。そのため、1歳ごろまでに車酔いから卒業する子が多いとも書かれています。

では、大人になってから酔う子はどうなのか。こちらは、また事情が違います。車に慣れていないことと、動く車の中という強すぎる刺激のせいで、不安になったり気持ち悪くなったりすると説明されています。
同じように吐いていても、理由は同じとはかぎりません。子犬では体がまだ育っている途中であること、成犬では車に慣れていないことや車内の強い刺激。どちらにもあてはまらない子もいますし、耳の病気や飲んでいる薬が理由のこともあります。
👀 吐く 前に 出ている サイン
車酔いのサインは、吐くことだけではありません。その前にも、体はいくつかのサインを出しています。どんなものがあるか知っておくと、吐いてしまう前に車を止めて、休ませてあげることができます。
サイン / 見え方
- よだれが増える
- 口のまわりが濡れる、シートにしずくが落ちる。気づきやすいサインです
- 口を舐める・くちゃくちゃする
- 舌で鼻先や口のまわりを何度も舐めます。くちゃくちゃと音が出ることもあります
- 鳴く
- クンクン鳴く、鼻を鳴らす。そわそわと歩き回るのと一緒に出ることがあります
- 落ち着かない
- 歩き回る、ハアハアする、向きを何度も変える、その場で回る、シートを掘るようなしぐさ
- 逆に動かなくなる
- 元気がなくなって、じっとしたまま固まる。静かだから大丈夫、とは限りません
- 吐く・排便する
- 吐くのも、便が出てしまうのも、車酔いのサインです。ここまで来る前に気づけると、その子が楽です
いつ、どのサインが出たかを覚えておくと、次に乗せるときの目安になります。例えば「10分を過ぎると口を舐めはじめる」ということが分かれば、そこに届く前に一度止まる、という乗せ方ができます。
🅿️ 止まっている 車でも 酔う
エンジンもかけていないのに、乗せたとたんによだれが出る。ドアを開けただけで震えて動かない。そんなことがあります。
獣医師向けの医学書は、車そのものへの恐怖も車酔いの要因になるとしていて、その出来事に対して条件づけられた犬や猫では、止まっている車の中でも症状が出ることがあると書いています。大げさでも、わがままでもなく、車=気持ち悪くなる場所と体が覚えてしまった状態です。

だから、揺れを減らす工夫より先にやることがあります。「車はこわくない場所」に戻すことです。次の章が止まった車から始まるのは、そのためです。
病院に行く日だけ、車に乗せていませんか
ひとつ、思い返してみてください。その子が車に乗るのは、どんな日ですか。
ワクチンの日、爪切りの日、具合が悪くなった日。車に乗る日がそういう日ばかりだと、犬にとって車は「乗ると、いやなことが起きる箱」になっていきます。動物病院グループも、年に1〜2回、病院に行くときだけ車に乗る犬は、車とそのあとのつらい経験を結びつけてしまいやすい、と書いています。酔って気持ち悪くなった記憶も、そこに重なります。車そのものではなく、その先にあるものと結びついている、ということです。
だから、慣らすときに大事なのはどこにも行かない日に乗せることです。乗って、数分いて、降りて、それで終わり。何も起きない日を何回も作っていくと、車が「何も起きない場所」になっていきます。次の章の①が「乗せて、座るだけ」で終わるのは、そのためでもあります。
行き先を作るなら、その子が好きな場所にしてみてください。近所の公園でも、いつもの散歩コースの入り口でも構いません。車を降りたら、いいことがあった。そう思える日が重なれば、車への苦手な気持ちも、少しずつやわらいでいくかもしれません。
🔁 車に 慣らす順番

動物病院グループが挙げている段取りは、次の4段階です。大事なのは、いきなり出かけないこと。1段ごとに「なんともなかった」を積んでいきましょう。
段階 / やること
- ① 乗せて、座るだけ
- 車に乗せ、エンジンをかけて、動かさずに数分座ります。それで終わりにして降ります
- ② バックして、戻る
- 翌日、同じことをしてから、車を後退させて出し、また元の場所に戻します。距離はそれだけです
- ③ 近所をひと回り
- 短い一周だけ。ここで初めて、道を走ります
- ④ 少しずつ伸ばす
- 20〜30分を気持ちよく乗れるところまで、少しずつ伸ばしていきます
止まった車でもサインが出る子にとっては、①がもうつらいこともあります。その場合は、エンジンをかける前に、ただ乗って降りるだけから始めてみてください。医学書も、車に慣らしていくことで乗り物酔いを乗り越えられる場合があるとしています。
落ち着いて乗れていたら、そのたびに褒めて、ごほうびをあげてください。動物病院グループの段取りには、それも入っています。数日で済む子もいれば、数週間かかる子もいます。
どの段階でも、サインが出たらそこで終わりにして、次はひとつ前の段階に戻ります。「今日は行けるところまで」と押し切ってしまうと、車はやっぱりつらい場所だった、という記憶が残ってしまいます。
🎒 乗せる 日の 準備
やること / ポイント
- 食事のタイミング
- 出発前の数時間は食事を控えます。長くても8時間で、胃が空のほうが吐き気が出にくいとされています。ただし無理のない範囲で、という条件つきです
- 体を固定する
- キャリーか、犬用のセーフティハーネスを使います。不安な犬は自分がけがをしたり、事故のもとになったりするためです。乗る前に、キャリーやハーネスに慣らしておきます
- 水
- できるときはいつでも、新しい水を飲めるようにしておきます。キャリーのドアに掛けるボトルも使えます
- 車内の暑さ
- 犬にとっての車内は、人が思うよりずっと暑くなります。短時間でも置き去りにしないのが大前提です

車内の温度と置き去りの話は、熱中症の記事にくわしくまとめています。夏でなくても、日の当たる車内は上がります。

🩺 病院に 相談する こと
次のようなときは、慣らしを続ける前に一度相談してください。
- 成犬になっても毎回吐く
- 短い距離でもサインが出る
- 止まっている車でも震える、よだれが出る
- 車のあとに食欲が戻らない、ぐったりが続く
動物病院グループは、耳の感染、内耳の平衡に関わる部分の病気、飲んでいる薬のせいで吐きやすくなっている子もいる、と書いています。慣らしても変わらないときに一度診てもらうのは、そのためです。
薬について
医学書には、薬で乗り物酔いを予防したり、落ち着かせたり、よだれを減らしたりできる場合があると書かれています。そしてそれらは動物病院で処方されるもので、鎮静に使うもの、吐き気や嘔吐を抑えるものなどが挙げられています。
動物病院グループは、その薬がその子に合うかどうか、正しい量と回数を、獣医師に確認するようにと書いています。人用の酔い止めを、自己判断で飲ませないでください。人の薬がそのまま犬に使えるとはかぎりません。犬の乗り物酔いに使う薬は動物病院で出してもらえるもので、その子に使えるかどうか、使うならどれをどれだけ、は診てもらったうえで獣医師が決めます。
急がずに、その子のペースでお出かけのレパートリーが増やせるといいですね。

💬 よく ある 質問
車酔いが若い犬に多いのは、内耳の平衡に関わる部分が育ちきっていないためだとされていて、1歳ごろまでに卒業する子が多いと説明されています。ただ、待っているあいだに「車はこわい場所」と覚えてしまうと、体が育ってからも症状が残ることがあります。体が育つのを待つのではなく、そのあいだも止めた車から慣らしていくほうが安心です。
獣医師向けの医学書は、車に慣らしていくことで乗り物酔いを乗り越えられる場合がある、としています。ただし成犬になっても毎回吐く、短い距離でもサインが出る、という場合は、慣らしを続ける前に一度動物病院で相談してください。耳の病気や飲んでいる薬など、車酔い以外の理由で吐いていることもあります。
自己判断では飲ませないでください。人の薬がそのまま犬に使えるとはかぎりません。犬の乗り物酔いに使う薬は動物病院で出してもらえるもので、その子に合う薬と正しい量や回数は、診てもらったうえで獣医師が決めます。
乗り物酔いのあとは、数時間ほど食欲が落ちることがあると書かれています。吐いたあとにすぐ食べたがらないのは珍しいことではないので、無理にすすめず、落ち着いてから少しずつで大丈夫です。ただし、次の日になっても食べない、ぐったりしている、というときは動物病院に相談してください。
📌 まとめ
- 車酔いは内耳の刺激が嘔吐中枢に届いて起こります
- 若い犬に多いのは内耳の平衡に関わる部分が育ちきっていないため。1歳ごろまでに卒業する子が多いとされています
- 吐くのはサインのひとつ。よだれ・口を舐める・鳴く・落ち着かない・逆に動かない、も同じサインです
- 止まっている車でも症状が出ることがあります。車=気持ち悪くなる場所、と体が覚えているためです
- 慣らす順番は座るだけ→バックして戻る→近所ひと回り→20〜30分。サインが出たらひとつ前に戻ります
- 人用の酔い止めを自己判断で飲ませないでください。犬の乗り物酔いに使う薬は、動物病院で出してもらうものです
📚 出典・ 参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。毎回吐く、ぐったりが続くといったときは、かかりつけの動物病院に相談してください。
- Merck Veterinary Manual「Motion Sickness in Animals」(2026年7月全面改訂)——乗り物酔いの主なしくみは、内耳の前庭器官が刺激されることで、ここは脳幹の嘔吐中枢とつながっている。徴候はよだれ、口を舐める、鳴く、落ち着かない(ハアハアする・向きを変える・回る・掘る)、元気がない、嘔吐など。乗り物への恐怖も要因になることがあり、その出来事に条件づけられた犬や猫では、止まっている車の中でも症状が出ることがある。車に慣らしていくことで乗り物酔いを乗り越えられる場合がある
- Merck Veterinary Manual「Motion Sickness in Dogs」(飼い主版・2024年9月更新)——乗り物酔いでは吐き気、過剰なよだれ、嘔吐が起こり、そのあと数時間食欲が落ちることもある。薬で予防したり、鎮静させたり、よだれを減らしたりできる場合があり、それらの薬は動物病院で処方されるもので、鎮静に使うもの、吐き気や嘔吐を抑えるものが含まれる
- VCA Animal Hospitals「Motion Sickness in Dogs」(Courtney Barnes, Tammy Hunter, Ernest Ward 獣医師)——車酔いは成犬より若い犬に多く、理由として内耳の平衡に関わる部分が育ちきっていないことが挙げられる。子犬は1歳ごろまでに車酔いから卒業することが多い。成犬では、慣れていないことと車内の強すぎる刺激で不安や吐き気が出る。年に1〜2回、たいてい動物病院に行くときだけ車に乗る犬は、車とそのあとのつらい経験を結びつけやすい。中耳や内耳の感染、前庭の病気、飲んでいる薬のせいで吐きやすくなっている子もいる。サインは、鳴く・歩き回る、過剰なよだれ、口をくちゃくちゃさせる・舐める、元気がない、嘔吐、排便。吐きそうなら車を止めて歩かせると一時的に楽になることがある。慣らし方は、車に乗せてエンジンをかけ動かさずに数分座るところから始め、翌日は同じことをしてからバックで車を出して戻り、次に近所をひと回りし、20〜30分を気持ちよく乗れるところまで少しずつ伸ばす。よくできたら褒めてごほうびを与える。数日から数週間かかることがある。不安が見えたらその日はやめて別の日にやり直す。無理のない範囲で、移動前の最長8時間は食事を控える(胃が空のほうが吐き気が減る)。キャリーか犬用セーフティハーネスを使う——不安な犬は自分を傷つけたり事故の原因になったりする。乗る前にキャリーやハーネスに慣らしておく。できるときはいつでも新しい水を飲めるようにする(キャリーのドアに掛けるボトルも)。薬がその子に合うか、正しい量と回数は獣医師に確認する


